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「西行さんの人造人間」について、『撰集抄』に当たってみました。
『撰集抄』は中世の説話集で、作者は西行に仮託されているそうです。
人造人間についての内容は、『撰集抄』五「高野山参詣事付骨にて人を造る事」です。
そのレシピ(^ ^)ですが、面白いので原文を引用してみましょう。
∥ 広野に出て人もみぬ所にて、死人の骨を取集て、頭より手足の骨を違えず
∥続け置きて、ひさう(砒霜)と云ふ薬を骨にぬり、イチゴとハコベとの葉をも
∥み合いて後、藤の若葉の糸などにて骨をからげて、水にて度々洗い侍りて、
∥頭とて髪の生ゆべき所には、西海枝(サイカシ)の葉とムクゲの葉とを灰に焼きて
∥付け侍りて、土の上に畳を敷きて彼(カ)の骨を伏せて置きて、風もすかずし
∥たためて、二七日をきて後に、其の所に行きて、沈と香とを焚きて、反魂の
∥秘術を行い侍りき。
良い子は絶対に真似をしないように (^_^;シナイシナイ
ところがこれが失敗作で、心が無くて声が出るだけ..
∥ 人の姿には似侍りしかども、色も悪く、すべて心もなく無く侍りき。声は
∥有れど絃管声のごとし。げにも人は心がありてこそは、声はとにもかくにも
∥つかはるれ。ただ声の出るべき計ごとばかりをしたれば、吹き損じたる笛の
∥ごとし。
ヒドイことに西行さん、この失敗作を..
∥ さても是をば何とかすべき。破らんとすれば、殺業にやならん。心の無け
∥れば、ただ草木と同じかるべし。思へば人の姿なり。しかし破れざらんには
∥と思ひて、高野の奥に、人も通はぬ所に置きぬ。
んで後日になって、その道の達人(?)の伏見前中納言師仲卿に次第を話す
と、師仲卿は「オマエはまだ反魂の術を行うには日が浅いな..」と言って、次
のようにアドバイスしてくれたということじゃ(^_^)
∥ 香をば焚かぬなり。其の故は、香は魔縁をさけて聖衆を集る徳侍り。しか
∥るに聖衆、生死を深くゐみ給ふ程に、心の出でくる事かたし。沈と乳とを焚
∥くべきにや侍らん。又、反魂の秘術を行ふ人も、七日物をば食うまじきなり。
∥しかうして造り給へ。少しも相違はじ。
愉快なのは、この師仲卿が言うには、
∥ 我は思はざるに、四條大納言の流を受て、人を作り侍りき。今、卿相にて
∥侍りと。其れとあかしぬれば、作りたる者も作られたる者も、とけ失せにけ
∥れば、口より外には出さぬなり。
つまり「公卿に列している連中のうち、実はオレが作った人造人間がいるん
だよ。言うとオレも溶けてしまうので言えんがな。フフフ」という訳。
西行と人造人間 (via yellowblog
)
(via hsmt)