Latest Tweets:

" Q5  昨年の10月、11月は気をもんだが、12月に(商品の売れ行きに)火がついて、改めて岩田さんの読みの正しさに賛辞をお送りしたい。ただこの火がロウソクの火なのかガスバーナーの火のようになるかは、今後のラインアップ次第とも思える。年末商戦向けのソフトは「E3請うご期待」というところで、察するに年前半というのは先ほどの『New スーパーマリオブラザーズ Wii』、『Wii Fit Plus』、『Wii Sports Resort』で引っ張って年後半勝負というふうに聞こえなくもないが、暦年の前半、後半でどういう戦略を練っているのか。
 それから、前回の説明会で岩田社長が「キンドルに興味がある」というお話があったと思うが、市販されている『フリー』(クリス・アンダーソン著)という本を読んでいて、恐らく御社のポリシーとしては「価格に見合った価値を提供するんだ」ということだと思うが、SNSや不正コピーの対策ということも念頭に置いた上で『フリー』のモデルのビジネスとしての可能性についてどのように考えているのか。今回新興国市場に関するご発言がなくて、むしろ先進国だというメッセージもあったので、そこも併せてお聞きしたい。 A5 岩田:
 実際のところ、10月、11月は私も気をもみました。(気を)もまない社長がいたらおかしいです。といいますのは、やはり「11月も中旬になればもっと反応があるはずだ」という期待があったわけです。われわれはやるべきことをやり、商品のお客様の満足度も決して低くないことも分かっていました。それなのに、週販が例年のパターンで上がらないということで、これは率直に申し上げて、「すべてが計算どおりだった」なんてごう慢なことを申し上げるつもりは全くなくて、気をもみました。結果から言いますと、「お客様は急ぐ理由がない時はこう行動されるのか」ということを改めて学んだという感じがします。具体的に言いますと、2007年、2008年、恐らくアメリカ、ヨーロッパの市場で起こっていたことというのは、「早いうちに買わないとDSやWiiは肝心な時に品切れしてしまう」と多くの方が思われ、また経済のムードも今ほど悪くない状況の中で、お客様が買うという判断をしやすかったと思うんです。それが2009年の場合は、「(品切れの心配はないから)お得なディール(取引条件)が出るまで待とう」ということになりました。結果的には、幸運にも任天堂の商品を選んでいただけた方が非常に多かったと思います。それは、「選んでいただけるように準備をしていたからこそできた」とも言えますし、一方で「紙一重のところで私たちに追い風が吹いたにすぎない」とも思います。
 ただ一方で、「ロウソクの最後の火」というような意識は全く持っておりませんで、われわれ自身、どういう条件がそろうとお客様が「買おう」という判断をされるのか、決断ができるのかということを改めて今回学びましたので、そのことに対して温度が冷えないように努力したいと思います。また、先ほども申し上げましたが、昨年の頭の時点でのWiiソフト市場のムードと、今年の頭の時点でのWiiソフト市場のムードというのは全く違いますし、『New スーパーマリオブラザーズ Wii』は短期間に1,000万本以上売れましたが、年が明けてからガクっと失速しているわけではなくて非常にいいペースで今も売れております。これは日本、アメリカ、ヨーロッパ共通の傾向ですから、まずこのポテンシャルをしっかり引き出すことができれば、まだまだ多くのお客様に受け入れていただけるはずだと思っています。例えば、日本は1,000万台弱のWiiに対して300万本以上の『Newマリオ』が売れているわけです。一方で、12月末時点でアメリカの『Newマリオ』の販売数というのは、NPDの発表で420万本だったと記憶しているんですが、Wii本体の販売数は日本の3倍近くあって2,700万台くらいあるわけです。アメリカの420万本は素晴らしい結果ですが、日本の(ハードに対する販売)比率で比べたら「まだ全然じゃないか」とも言えるわけで、するとまだ相当上積みの余地があるわけです。そしてそういうことが社会の話題になって常に周りで『Newマリオ』を楽しんでいるという声が聞こえていれば、Wiiにちょっと興味があった人に「やっぱり買おうかな」という気持ちになっていただきやすいわけで、そういう状況をどう冷やさず作るか、ということなんだと思います。
 ちなみに今日お話ししたラインアップの中には、年の後半に出るものと年の前半に出るものが混ざっていて、「発売月は何月です」と申し上げられればいいんですが、現在最終調整中です。今日お話ししたものが全部年の後半にならないと出てこないというわけではありません。当然私たちも市場を冷やさないように、去年のように年の後半になってから(主軸タイトルを)3つ出して、それで再加速するというようなやり方が本来スマートだとは全く思いません。むしろ、バランスよく配置してバランスよく勢いを維持していくことが必要だと思っています。
 それから、「(アマゾンさんの)キンドルに興味がある」と申し上げたのは、「キンドルという機械が3G携帯電話のネットワークを使っていながら、お客様が直接(携帯電話の)通信キャリアさんにお金を払うモデルではないことを実現しているというところに興味がある」という意味で申し上げました。確かに、携帯電話のネットワークを使えば、お客様に常に(インターネットに)接続した状態のデバイスをお渡しできるわけで、今では3Gのモジュールというのはそれほど高くなく買えますから、製造原価そのものは、それはあまり大きな問題ではなくなってきているんですね。ところが、今のところ3Gのネットワークというのは、世界中の通信キャリアさんがものすごい巨額の設備投資をされていて、それを使わせていただかない限りは使えないわけです。すると、お客様は恐らく毎月何千円かのお金を払わないとたくさんのパケット通信を使えないのですが、「このゲーム機を買ったら向こう2年間毎月5,000円払ってください」というようなゲーム機の売り方は、私は成立するとは思えません。だから、アマゾンさんがうまくビジネスモデルを組み立てたように、やり方の発明がないと無理があります。現実には、キンドルは(電子書籍という)比較的コンパクトなサイズのものをダウンロードするということに特化しているのであのモデルが成立しているのですが、例えばWi-Fi通信の対戦ゲームを延々とパケットを使って通信してもお客様がお金を払わないですむ方法は、今のところ何がしかの大きなイノベーションが生まれない限りは実現不可能なわけです。その意味で、今日明日に実現できることではないんですけれども、そういう意味でキンドルに興味があると申し上げました。
 それから『フリー』という本についてです。『フリー』は私も読みました。いろんなものがデジタルの世界ではタダに近づいていくのだということで、『フリー』に書いてあることについてはいろいろな賛否両論があって、『ティッピング・ポイント』という本を書いたマルコム・グラッドウェルさんが『フリー』に対する反論をインターネット上に自身で発表されたように、「本当にこの通りいくのか、そうは思えない」という意見もある一方で、「デジタル世界のものというのは、気をつけないと価値が下がっていく」ということは事実だと認識しています。確かに値段を下げたら売りやすいと考える人は多いので、目先の販売を考えると「値段を下げたらどうか」という話はすぐ出てくるのですが、われわれはむやみに値段を下げてしまうとソフトの価値がなくなってしまい、結局、いろんな人が、そこでビジネスを継続していけなくなるのではないかということを非常に強く危惧していますので、単純に『フリー』に書いてあるようなことをやろうとは思いません。一方で、『フリー』という考え方を上手に使うと、今まで試していただけなかったお客様がその価値を実感するというチャンスは生まれる可能性があるので、どんな使い方が良いのか考えるべきなんだろうなと思います。 "

株主・投資家向け情報:2010年3月期 第3四半期決算説明会 質疑応答